家政婦のミタ ミタ過去 [家政婦のミタ ミタ過去]

「家政婦のミタ」第8話でミタさんが過去を語ったセリフです。

「わたくしが 初めて紹介所の所長さんから最中をいただいたのは キイさんと同じ歳の頃でした。 

その一年前 近所の川で溺れそうになったわたくしを救おうとして 大好きだった父が死にました。 

それ以来母は心のどこかで最愛の夫を殺した娘を憎み 避けるようになりました。 

わたくしは勉強や習い事を必死でがんばり なんとか母に喜んでもらおうとしました。 

しかし 再婚し子供をつくると 弟のことばかりかわいがるようになりました。 

義理の父がわたくしに色目をつかうようになると 母はますますわたくしを憎むようになりました。 

お前のその笑顔が悪いんだ その笑顔が周りのものを不幸にする と何度も何度も責められました。

それでも当時うちの家政婦をやっていた所長さんに励まされ わたくしは懸命に笑顔をつくりました。

いつかこんな自分を愛してくれる人に巡り合えると信じていました。

そして主人と出会いました。彼にそっくりの男の子もできました。

わたくしのこしらえた料理を おいしいおいしいと食べてくれる二人を見ているだけで 他には何もいりませんでした。

毎日毎日が幸せで 心から笑って過ごしました。

そんな時 弟が家に来るようになりました。

わたくしを愛していると言いだし 付きまとうようになりました。

主人はそんなこととは夢にも思わず 弟をいつも歓迎しました。

それをいいことに 弟はわたくしに関係をせまり ストーカー行為を始めました。

父親が違うとはいえ 兄弟であり わたくしはなんとか彼の善意に訴えようとしました。

何度も何度も許してほしいと頼みました。しかしだめでした。

やがて 主人が弟の正体を知りました。

二度と来ないでくれと主人に責められた弟は逆上し 俺を誘惑したお前が悪いんだと わたくしたちの家に火をつけました。

燃えさかる火の中 お母さん助けて お母さん助けてと叫ぶ 息子の声が聞こえました。

わたくしは火の中に飛び込もうとしました。でも 消防の人に止められました。

わたくしがこの世で一番大切だった 主人と息子は死にました。

そんなわたくしをあざ笑うかのように 弟が自ら命を絶ちました。

残された母や主人の両親は お前が悪い お前のその笑顔が 結局周りのものを不幸にすると。

もう謝らなくていい 何もしなくていい ただもう死ぬまで二度と笑うなと・・・

こうして わたくしの人生から 光が 希望が 夢が 愛が 喜びが 幸福が 未来が消えました」



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